私達は結婚したのでもう手遅れです!
そのかわりばえしない日々を彩ってくれていたのは冬悟さんの存在だった。
デートだってすごく楽しみにしていたのに―――でも、この状況。
もしかしなくてもデート以上のことが起きているのではっ!?
やっと今になって気づく私。

「よかった」

ぎゅっと香水の甘い香りがする胸元に顔を埋められ、抱き締められた。
思考が全て止まった。

「それなら、一緒に暮らしても問題はありませんね」

「い、一緒に?」

「これからよろしくお願いしますね。羽花さん」

そう言った冬悟さんは私の至近距離で殺人的なまでに美しい笑みを浮かべていた。
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