私達は結婚したのでもう手遅れです!

プロポーズ【仙崎】

仕事だと思っていた冬悟さんと羽花さんの温泉旅行。
自分でも驚くくらいのんびりすることができた。
羽花さんの持つ雰囲気おかげだろうか。
あの冬悟さんですら、優しい顔になる。
羽花さんは不思議な人だ。

「おい。仙崎。そろそろお前もケジメをつけろよ」

ヒノキ作りのカウンター席に冬悟さんが座り、厳しい声で言った。
そう言われるのも無理はない。
中途半端な関係を今まで続けてきた。

「まあ。冬悟さん。私は今のままでもいいのよ」

どうぞと冷酒を渡してくれた小料理屋の女将―――長年付き合っている女性で名前を雪可(ゆか)という。
雪可は両親の店が失敗し、借金で困っていたところを冬悟さんに助けられ、嶋倉の援助を受けて店を開いた。
両親は借金を返済後、田舎の方へ移住し、定食屋をしているらしい。
残った雪可が店を継いだというわけだ。
美人な女将が作る美味しい料理。
店が流行らないわけがなかった。

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