私達は結婚したのでもう手遅れです!
「仙崎もいい歳だ」

「歳より扱いしないでください。まだ四十前です」

「そうだったか?」

「……はい」

確かに老けて見えるかもしれないが……
冬悟さんの世話を先代組長から頼まれたのは高校生の時だった。
まずは人の面倒をみることから始めろと言われて、冬悟さんの身の回りの世話をすることになった。
正直、ガキのお守りかよと思っていた。
だが、冬悟さんは普通の子供ではなかった―――

「冬悟さんは昔から変わりませんね」

「は?子ども扱いするな」

「そのセリフも変わりませんね」

小学生からそう言われた時の心境はなんとも言えなかった。
だが、冬悟さんは頭がよく、勉強を教えることも身の回りの支度も誰の手も煩わせることがなく、むしろ、若い衆の相談にのったり、世話をするような子供だった。
組長の孫というだけじゃない。
全員が冬悟さんに一目置いていた。

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