私達は結婚したのでもう手遅れです!
『俺はまだガキだ。力だけはどうにもならない。仙崎。言っていることはわかるな?』

小学生とは思えない怜悧な目をした冬悟さんが自分に言った言葉だ。
つまり、身の回りの世話というのはボディガードをしろということだった。
自分が強くなるまで。

「俺はもう小学生じゃない。そばに羽花もいる」

冬悟さんは出された先付けのポテトサラダを食べながら言った。
ブラックペッパーがたっぷりかかったポテトサラダはピリッとしていて酒に合う。

「冬悟さんが一途に想い続けてきた方と添われて、嶋倉の皆さんもホッとされたでしょうね」

「ああ。それで、俺はそろそろ羽花を連れて嶋倉本邸に戻ろうと思う」

「羽花さんが姐さんになるということですか……」

ぽやんとした顔を思い浮かべた。
強面連中の中でやっていけるだろうか。
いや、むしろ、あいつらが羽花さんに振り回されそうな気が……

「仙崎。もうヤクザじゃねえぞ」

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