私達は結婚したのでもう手遅れです!
だって、まだ心の準備ができてない。
頭の中で全速力で走っている自分がいて、息切れしていた。
というか、ずさぁっと盛大に転んで倒れたまま、立ち上がれていない。
息の根が止まってるけど、私、大丈夫?
深呼吸をした。
そして、絞り出すような声で冬悟さんに尋ねた。

「お、お聞きしてもいいですか?」

「どうぞ」

「寝室はこちらだけですか?」

「はい」

『はい』つまり、英語でイエス。
言葉がでないまま、冬悟さんをじいっと見つめた。

「私と羽花さんは恋人同士ですよね?」

「はい……」

「それなら、問題はありません。けれど―――」

すっと耳に冬悟さんが唇を寄せ、息が耳に吹きかかる。
ぞわぞわとして、くすぐったいような感触に我慢できず、冬悟さんの肩にしがみついた。

「羽花さんが私のことを受け入れてくれるまでは何もしません。約束します」

「冬悟さん……」

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