私達は結婚したのでもう手遅れです!
唇が耳の裏や耳朶をなぞり、首筋に触れた。
なぞられた部分が熱を持ち、甘く痺れたような感覚に体から力が抜けそうになった。

「嫌なら拒んでいいですよ」

嫌なんて思うわけない―――近くに冬悟さんの綺麗な顔があって、惚けたようになってしまう自分が恥ずかしいだけ。
きっとバカみたいな顔をしているから。
唇が重なった。
柔らかな唇の感触を楽しむように何度も角度をかえてキスし、息をしようと口を開けたところに舌がするりと入り込んだ。

「んっ……」

舌が中をえぐり、すぅとなぞられると刺激が走り、体がびくりと震えた。
壁に背中を触れさせて寄りかかり、足に力をこめ、なんとか立っているけれど、気を抜くと崩れ落ちてしまいそうだった。
それに気づいているのか、冬悟さんは大きな手で私の体を支えていた。

「キスは初めてですか?」

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