私達は結婚したのでもう手遅れです!
「そうですか?」
「そのっ!こんな素敵なお食事には足元にも及びませんけど、私の作った料理を冬悟さんに食べてもらいたいなって思って」
「それは楽しみですね」
冬悟さんは微笑んだ。
なんだか恋人同士みたいって―――恋人同士だった。
「冬悟さんは王子様みたいですね」
「王子様……」
驚いた顔をしていたけど、褒めてるからいいよね?
気を悪くするようなことじゃないし。
そう思って、にこにこと微笑んでいると冬悟さんは指をメガネに触れさせて、柔らかく微笑んだ。
「羽花さんが私を好きになってくれるのであれば、王子にだってなりますよ」
「たっ、たとえですっ!どんな冬悟さんでも素敵です」
「どんな私でも?」
「はいっ!」
力いっぱい返事をした。
「それはよかった」
幻滅されるのは私のほうって、私に理想もないよね……
自分と冬悟さんの差を考えて遠い目をした。