私達は結婚したのでもう手遅れです!
お任せくださいっとばかりに身を乗り出した。

「結婚を前提に付き合ってもらえませんか?」

「けっ、けっ、結婚……」

それって教会で鐘がなっちゃうアレですよね?
冬悟さんはすごく真面目な人なのかもしれない。
付き合うイコール結婚。
そんな考えをお持ちだったとは……!
手を出したからには責任をとるタイプなのかも。
まだ出されてもないけど。

「でも、一緒に暮らしているうちに私にがっかりするかもしれません」

「そんなことはないですよ。ずっと心待ちにしていましたから」

「ずっと……」

そこまで私のことを好きでいてくれる人なんて、この先現れるだろうか。
付き合った男性は今までゼロな私。
冬悟さんに素敵な人が現れるほうが確率は高いのに結婚を前提にお付き合いしてもらえるなんて……
やっぱり冬悟さんは王子様だよっー!
ぐるぐるとそばの麺つゆを箸でかき混ぜながら、心の中は輪になって踊っていた。
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