私達は結婚したのでもう手遅れです!
メガネをはずし、微笑んだ冬悟さんにやられてしまった。
自分のセクシーパジャマなんか、もうただの布きれですねと思うくらいの微笑み。
髪を指ですかれただけなのにドキドキして胸が苦しい。
冬悟さんからは女性を魅了するフェロモンが出ているに違いない。
きっとそう。

「冬悟さん……」

そのフェロモンにやられた私は体から力が抜け、気づくとその腕の中に抱き締められていた。
冬悟さんから私と同じ薔薇の香りがする。
そっとその顔を見上げると、長い睫に白い肌、涼やかな目元にサラサラの髪。
メガネがなくて、髪をセットしてない冬悟さんはいつもよりずっと若く見えて、本当に王子様みたいだった。
薔薇の香りがこんなに似合う男の人なんて、そうそういないと思う。
それくらい綺麗な顔立ちだった。
今日、二度目のキスを受け入れながら、薔薇の香りに酔ったのか、一度目のキスより頭がぼうっとしてくらくらした。
不思議。
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