私達は結婚したのでもう手遅れです!
すでにメガネをかけて、髪を整えていて、私のほうがむしろ寝起きのような顔をしているくらいだった。

「冬悟さん、ベッドで眠らなかったんですか?」

「さすがに眠れませんよ」

冬悟さんが微笑んだ。
私だけが眠れないわけじゃなかったんだ―――って私は眠ってしまったけど。
私のほうが図太いみたいで恥ずかしい。
みたいって、そうなんだけど……

「冬悟さん。今、コーヒーをいれますね」

「ありがとう」

「いいえっ!仕事の時間まで休んでいてください」

しっかりベッドで眠ってしまった後ろめたさから、声が大きくなってしまった。
こうなったら、『彼女』として素敵な朝食を用意してみせる!
ケチャップ、マヨネーズ、砂糖醤油を少々加えて、朝だからニンニクはソースに入れない。
ピーマンはなかったから、代わりにアボカド。
玉ねぎは薄くスライスしておいて、塩コショウをしてしんなりさせておく。
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