私達は結婚したのでもう手遅れです!
父は口数が少ない方だったし、継母は私が家事をしたり店の手伝いをすることは当たり前だって思われていたから。
こんなふうに食事を作っただけで、すごく喜ばれることがあるんだって初めて知った。

「どうぞっ!召し上がってください」

「羽花さんも」

「はい」

二人でダイニングの椅子に座って向かい合わせで朝食を食べた。
これが恋人同士の朝ってかんじなのかな!?
わからないけど、幸せなことには間違いない。

「今日から羽花さんも私と一緒に会社に出勤してもらいますね」

「一緒にですか!?」

矢郷(やごう)組がなにをしてくるかわかりません。目の届くところに羽花さんがいないと心配ですから」

「は、はい。そうですよね!それじゃあ、私、冬悟さんのお仕事のお手伝いをします」

「社長室にいるだけでかまいませんよ」

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