私達は結婚したのでもう手遅れです!
「いいえ。なにかしてないと落ち着きませんから。簡単なことしかできませんけど、ご迷惑じゃなければ……」

「迷惑なんてことはありません」

なんて優しい。
冬悟さんの柔らかな口調に癒される。
和菓子屋でしか働いたことがないから、役に立つかどうかはわからないけど、ただ座っているなんて申し訳なくてそんなことできない。
それにタダで守ってもらうなんてとんでもないことだった。
三千万円も冬悟さんから借りてるのに……

「あの、父や妹はどうしてますか?」

「昨日、私の部下から連絡があり、柳屋(やなぎや)のほうは無事だそうですよ」

「そうですか!よかったー!」

「こちらから、見張りを送り込みますから羽花さんはご心配なく」

「そこまでしてもらうなんて悪いです……」

「相手はヤクザです。徹底的に潰しておかなくては何をしてくるかわかりませんよ?」

「潰すだなんて。冬悟さん、危なくないですか?」
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