私達は結婚したのでもう手遅れです!

「なれてますから」

さらっと言われて、そんなものなのかなと思ってしまった。
なんの違和感もなく。
二人でコーヒーを飲みながら、朝を迎える。
なんて素敵な恋人同士の朝。
うっとりしていると、玄関のインターホンが鳴った。

「迎えに来ましたぁー!」

冬悟さんがすっと目を細めた。

「早すぎる。わざとだな」

「え?」

わざとって何がわざとなんだろう。
私がその表情を見ると、さっと冬悟さんが微笑んだ。

「私の部下の竜江(たつえ)仙崎(せんざき)です。羽花さんにあらためて紹介しますね」

二人の分もコーヒーを入れた。
招き入れられた二人は私をジッと見た。

「おはようござます。コーヒーをどうぞ」

「いただきます」

「あざっす!」

大きな声。
しかも、恭しくコーヒーカップを両手で持ち上げている。
な、なんで?
はぁっと冬悟さんが二人を見てため息をついている。

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