私達は結婚したのでもう手遅れです!
「羽花さん。このヒゲを生やした男が仙崎。その隣の若い男が竜江。なんでも二人に言いつけてください」

「は、はあ……」

言いつけるってお願いするってこと?
なんだか、独特な言い回しだなぁ。
ぼんやりとそんなことを思いながら、ならんだ二人を見た。
ボディガードのようにスーツをビシッと来た仙崎さん。
スーツの下にパーカーを着ている学生のような竜江さん。
対照的だけど、腕っぷしの強さは昨日で十分証明されている。

「よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げると二人は私よりも深々と頭を下げた。
礼儀正しい人達なんだなと思いながら、冬悟さんに言った。

「私、会社に行く準備をしてきますね」

「はい」

にっこりと冬悟さんは微笑んだ。
二人はなぜかソファーに座らず床に正座していた。
なぜ正座!?
それも床。
部下だから?
もやもやしながら、クローゼットルームに入っていた。
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