私達は結婚したのでもう手遅れです!
『素敵な名前ですね』
『そうですか?うか、という名前も素敵ですよ。よかったら、名前でお呼びしても?』
『はいっ!構いませんっ!』
『そうですか。では、私のことも名前で呼んでください』

―――(かなり)美化された私と冬悟さんの回想が頭の中で終わった。
領収書がきっかけで冬悟さんを名前で呼ぶことになったんだよね。
役得とはこのことよ。
お互いを名前で呼んでいるっていうだけで、特別に思うなんて図々しいの百も承知!
でも、私の中ではこんなハイレベルの男の人は芸能人と同じ。
領収書を手渡す幸福感を味わうくらいは許してください。
いつもなら、これで終わりのはずだった。
けれど、今日は違っていた。

「羽花さん。よかったら今度、食事でもどうですか?」

「えっ!?しょ、食事っ!?」

かぁっーと自分の顔が赤くなるのがわかった、
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