私達は結婚したのでもう手遅れです!
入ってくるのを竜江さんも仙崎さんも止めない。
二人が『どうしますか』と冬悟さんの顔を見て意向をうかがっているのがわかる。
それが女の人にも伝わるのか、隣にいた私をドンッと突き飛ばし、冬悟さんの隣に立った。

「冬悟。兄さんとケンカしたんですって?」

その美人な女の人が肩に手を置いても冬悟さんは振り払わない。

「ケンカ?遊んだだけですよ。幼馴染同士のちょっとしたふざけあいのつもりです」

「どうして敬語なのかわからないけど……」

ちらっと私の方をみた。

「ふぅーん。この子がそうなの」

この子!?
完全に子ども扱いだった。

「冬悟さん。この方はどなたですか?」

冬悟さんが答える前にその女の人が答えた。

「私は矢郷(やごう)礼華(れいか)。矢郷玄馬(はるま)の妹よ」

昨日のヤクザの人の妹と言われて、じっと見ると確かに目の鋭さが似ているような気がした。

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