私達は結婚したのでもう手遅れです!
「あ、いえいえっ!そうですよねぇー。まだお付き合いされたばかりですからね」

竜江さんはそう私に言ったくせに本音は違っていた。

「嘘だろー……。手を出さねぇとか、どういうことだよー」

ぶつぶつとつぶやいているのが聞こえた。
本音がダダ洩れだし。
私の色気うんぬんはこの際、どうでもいい……よくないけど。
横に置いといて。

「冬悟さんの婚約者がどうして矢郷組の方なんですか?」

「それはですねぇ……っと、仙崎さん」

パスと言うように竜江さんは仙崎さんに話を振る。

「冬悟さんに訊いてください」

なにこのタライ回し。
二人が私の質問を拒否したその時―――

「私達はロミオとジュリエットなのよね?冬悟?」

礼華さんが社長室に戻ってきた。
さっきの勢いはあるものの、いくぶんトーダウンしているように感じた。

「面白い冗談ですね」

「冗談なんかじゃないわ。教えてあげる」

「礼華」

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