私達は結婚したのでもう手遅れです!
私のそばまで礼華さんは歩いてくると耳元で囁いた。

「本当の彼の姿も知らないでいい気なものね」

そう言って礼華さんは身を離した。

「今日のところはここで引いてあげる」

じゃあねと礼華さんは笑って出て行った。
本当の彼って……?
冬悟さんが私に見せる姿は全部演技だってこと?
混乱したまま、礼華さんが去ったドアのほうをずっと眺めていた。
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