私達は結婚したのでもう手遅れです!
冬悟さんが会議から戻ったら、一度『柳屋』に帰してもらえないか相談しようと決めた。
頭の中を整理してから、冬悟さんとの付き合いをゆっくり考え直そう。
浮かれすぎて、私はなにも見えてなかったんだ。

「会議どうでした?」

気が付くと、竜江さんが戻った冬悟さんに声をかけていた。
私も自分の心を隠すように作り笑いを浮かべて、おかえりなさいというようにぺこりと頭を軽く下げた。
そして、ラベル貼りを続けた。
あまり冬悟さんを見つめてしまうと胸が苦しすぎて、責めるようなことを言ってしまいそうだったから。
自分の中で気持ちに整理がついてない上に言葉になってないのになにを言おうというのか自分でもわからないけれど……

「竜江、仙崎。外に出てろ」

「はい」

二人が社長室から出るのが分かった。
うつむいたまま、ラベルを貼り続けていたけど、その手に冬悟さんの手が重なって顔をあげた。

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