私達は結婚したのでもう手遅れです!
どうやったら、そんなふうに人を誘惑できるのか教えて欲しいくらい。
太ももをなであげ、唇が首筋をなぞった。

「や、やめてください。私、心の準備ができてなくて。それにもっと冬悟さんのことを理解してからじゃなきゃ嫌です」

「これ以上、理解しようがないくらい理解しあえるけど?」

それとこれとじゃ意味が違うんですっ!
そう言いたいのに体は冬悟さんの指を求めていた。
触れられるのが嫌じゃない。
でも、自分の気持ちはまだついていけてない。
するりと着物の帯がほどかれ。白い襦袢がさらされる。
襟元から自分の小さな胸が見えてしまうことに気づき、慌てた。
明るい部屋で胸を見られることが恥ずかしくて体を逃がそうとすると腰を捕まれた。

「どうした」

「だ、だ、だめ。胸がっ……そのっ……小さいのでっ」

「なんだ。その理由」

耳元で笑う声がした。
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