君と止まることのないドキドキを
*肝試し*
「今から、毎年恒例の肝試しを行いまーす! 男女それぞれくじをひいてペアになってくださーい!」
担任がそう言った。
高校に入って初めての宿泊研修。
みんなでテントを張ったり、カレーを作ったりわいわいと楽しんでいたが、こればかりはどうにも楽しめない。
別に、男女ペアにならなくていいと思うが男女の仲を深めるためだとかの理由でこうして始まった肝試し。
まず最初に、女子たちのくじ引きが始まった。
小柄な女子、千夏(ちなつ)をこっそり見た。
千夏は、俺の彼女だ。
「おーい、千夏! 何番だった?」
千夏の友達、佐藤が言った。
「じゃーん! 2番だったよ!」
くじ引きの紙を佐藤に見せている。
「相手誰になるのかな?」
「楽しみだね!」
友達とはしゃいでいる千夏。
女子全員のくじ引きが終わったところで、今度は俺たちのくじ引きが始まった。
絶対に2番だけは避けたい。
なんとしてでも。
箱の中に手を入れて、くじを引く。
恐る恐る紙を開けた。
【2番】
‥‥‥ガーン。
俺の心の中で全てが終わった。
彼女と一緒だなんて、そんなの嫌だ!
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