君と止まることのないドキドキを
「おい、坂上! 今すぐくじを替えてくれ!」
すぐ近くにいた俺の友人・坂上に頼み込んだ。
「え〜、やだよ。てか、お前の相手、千夏ちゃんじゃん。大好きな彼女と一緒になれて良かったな」
「良くねーんだよ!」
「千夏ちゃんとケンカでもしたのか? 仲直りしない奴にはそう簡単にはくじ替えてやれねーわ! それじゃーね」
「あっ、ちょっと!」
友人に見捨てられてしまった。
‥‥‥はぁ。
【2番】と書いてある紙を見て深い溜息をついた。
別に、千夏とはケンカとかしていない。
そう思っていると、小走りで俺の元に駆け寄って来る千夏の姿が見えた。
「ねぇねぇ、琉生(るい)くん! くじ何番だった?」
目をキラキラさせて訊ねてくる千夏に、俺はなにも言わずただ手に持っている紙を彼女に見せた。
「うそー! 私も2番だったよ! 良かった。琉生くんと一緒のペアになれて」
嬉しいことを言ってくれるが、俺の心境は複雑だった。