君と止まることのないドキドキを
くじ引きが終わり、簡単な説明があった。
懐中電灯を持って肝試しエリア、要するに森の中を歩いてゴールを目指すというもの。
おばけ役は、先生やキャンプ場の管理者でもあるスタッフ達だ。
おばけ屋敷とはレベルが劣るが、それでもかなり本格的らしい。
そうして始まった肝試し。
2番ということもあって、すぐに俺たちの番が回ってきた。
「琉生くん、行こう?」
「あ、あぁ」
千夏と一緒に、恐る恐る森の中に入った。
暗闇の中、懐中電灯で辺りを照らしながら歩く。
「うわっ!」
不気味な人形。
「ひぃぃ! おばけ!」
茂みからいきなり飛び出して来たおばけ。
肝試しのエリアに入って1分も経っていないが俺はビビり散らかしていた。
実は、ホラーが1番苦手である俺。
こいつだけには、知られたくなかった。
だから、一緒のペアになるのが嫌だったのに。
千夏に、引かれてないか。
幻滅されてないだろうか。