君と止まることのないドキドキを
「おい、あまり離れると危ないって」
千夏の腕を引っ張って、振り返った彼女をもう片方の手を肩に置くとそのままキスをした。
「‥‥‥!」
「これにはびっくりしたか?」
少し強引だったかもしれないが、驚く彼女を見てみたかった。
でも、いきなりキスをした時は目を見開いていたけどすぐに下を向いてしまった。
「千、夏?」
不安になって恐る恐る名前を呼ぶ。
「‥‥‥ずるいよ」
千夏が言ったその言葉が聞き取れず首を傾げると、彼女は「あっ!」と声を上げなにかを指さした。
「あそこ! おばけ!」
「うわぁぁ! ‥‥‥って、居ねーじゃんか」
千夏が指さしたそこにはなにもなく、彼女のほうに視線を戻すと、
ーーチュッ。
「‥‥‥!」
背伸びをしてキスをしてきた彼女と目が合った。
「仕返し」
照れながらも千夏が笑う。
おばけなどにハラハラとしていた胸が、今度はドキドキへと変わる。
俺の恋はまだまだ始まったばかり。