闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆

「これ、私のぬいぐりみ!」


西川さんは矢野の手からうさぎを奪い取ると、大切そうに手の中に包み込んだ。


そしてジットリとした視線を矢野へ向ける。


探偵団の仕事はこれで終わりかもしれなかったが、どうしてぬいぐるみを盗んだのか最後まで調べるために3人共ここに残っていた。


「ごめんなさい!」


矢野は青い顔をして西川さんへ頭を下げる。


「どうしてこんなことしたの? すごく大切なものなのに!」


おとなしい西川さんには似つかわしくない大きな声が出ている。


ぬいぐるみと、犯人が見つかったことで興奮しているみたいだ。


「それを見ていると、つい……」


矢野は口の中でもごもごと答える。


ついってどういうことだ?


矢野は男だし、どうしても欲しいものだとは思えない。


やっぱりなにか理由があったのだと察したテツヤはぬいぐるみを見せてもらうことにした。
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