闇夜ヨルの恐怖記録 5
西川さんに頼んでぬいぐるみを手にしてみて、別になんの変哲もないものにしか見えない。


だけど見ている間になにかがテツヤの中で引っかかった。


なんだっけ?


それを探るためにジュンイチからメモ帳を借りて、西川さんの話をもう1度確認してみることにした。


その中にテツヤのひかかりの答えが書かれていた。


「西川さん、このぬいぐるみってボロボロになっても直してたんだよね?」


「うん。とても大切なものだったから」


「じゃあ、どこを直したのか覚えてる?」


聞くと西川さんは「ボタンの目とか、しっぽとか」と、説明しながらぬいぐるみを見つめうる。


そして異変に気がついたように目を見開いた。


「嘘、私が直したときよりも綺麗になってる!」


西川さんは驚いた声を上げて矢野へ視線を向ける。


「ぼ、僕、裁縫が得意で、それでずっと、西川さんのぬいぐるみのことが、気になってて……」


「直してくれたの?」


コクンと頷く。
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