闇夜ヨルの恐怖記録 5
これは探偵ドラマではなく、現実なんだ。


「け、警察に行きましょう」


震える声で言ったのはジュンイチだった。


ジュンイチは女性へ視線を向けて、真剣に訴えている。


「そ、そうね。それが一番いいわよね」


女性はすぐに同意してこころなしかホッとした表情を浮かべた。


自分ひとりでこんな場面に遭遇して、警察に行くという判断もできなくなっていたみたいだ。


中学生でも、自分たちが来たことで少しは落ち着きを取り戻してきたらしくて、少しだけ嬉しい気持ちになった。


じゃあ、行きましょうかとジュンイチが促して歩き出したとき、部屋の奥で大きな家具が倒れるような、ガタンッ! という音が響いた。


その音に4人同時に足を止めて閉ざされているドアへと視線を向けた。


真っ黒な影のような男が家の中を荒らし回っている様子が脳裏に浮かんできて、テツヤの背中に冷や汗が流れていった。


思わず隣にいるカツユキの手を握りしめてしまう。


男同士で手を握り合うなんて気持ち悪いと振り払われることなく、カツユキも握り返してきた。
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