闇夜ヨルの恐怖記録 5
女性の家にストーカーが入り込んだことよりも、自分たちのことの方を見出しとして書かれていたのだ。


「ヒーローじゃなくて、探偵団なんだけどな」


テツヤはあくまでも探偵団というところにこだわっているようだ。


ヒーローというと子供向け番組の戦隊モノを想像するけれど、そうじゃない。


特別な力なんてなにもなくて、だけどみんなを助けることができる探偵に憧れているんだ。


「今日の放課後、警察署に呼ばれてるだろ? みんな制服で行くのか?」


途中で話題を変えたのはジュンイチだった。


ジュンイチはベンチの横の地べたにあぐらをかいて座っている。


お尻が汚れることなんて気にしていない様子だ。


「あぁもちろん。学校もそうしてほしいって言ってるしな」


カツユキは頷く。


学校が終わったあと警察署に呼ばれたのは事情聴取のためではない。


勇気ある行動が1人の女性を救ったとして表彰されるためだった。


正直人生で表彰されたことなんて1度もないテツヤは朝からずっと緊張していた。


なにか御礼の言葉などを述べなければならないのか、緊張して噛んだりしないだろうか、そんなことばかりが気になっている。
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