闇夜ヨルの恐怖記録 5
そして3人の足は自然とあの自販機へと向かっていた。


少し狭い通りにあるその自販機は行き交う車にとってはちょっと迷惑そうな場所にある。


だけど家や学校から比較的近い場所にあるそれは3人にとって馴染みの自販機だった。


「あれ?」


自販機の前に立ち、テツヤが首を傾げた。


昨日はたしかにあった能力ドリンクが今日はどこにも見当たらないのだ。


「なくなったのかな?」


隣でカツユキが言う。


「こんなに早く?」


「だって、実際になくなってるし」


自販機内の商品を隅から隅まで確認してみても、あのドリンクは見当たらない。


「いつでも手に入らない。そう書いてあった通りだな」


ジュンイチが指先で顎を触りながら言う。


そのしぐさはまるで探偵そのものだ。


「昨日の内にもっと買っておけばよかった」


ブラブラと散歩するように自宅へ向かいながらテツヤは愚痴る。


昨日の今日でなくなってしまうなんて、誰にも想像できないことだった。


わかっていればもっと沢山能力ドリンクを買っておいたのに。
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