闇夜ヨルの恐怖記録 5
カツユキもまんざらではない様子だ。


しかしジュンイチだけはため息を吐き出した。


「こんなことでドリンクを使うなんて」


と、さっきから不機嫌そうな顔を隠さない。


それでも1人だけ足が遅いと思われては嫌なので、自分もドリンクを飲んでしまったのだけれど。


いざ瞬足の能力を手にしてみると面白いくらいに走ることができるとわかった。


景色は自分でも見えないくらい早く過ぎ去っていき、先生の表情を見ることもできない。


それなのに体は疲れなくてこうして普通に会話もできる。


これはくせになっても仕方がないと思えた。


つい流されてしまいそうになる気持ちをぐっと押し留めて「これっきりだからな」と、ジュンイチは言ったのだった。
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