闇夜ヨルの恐怖記録 5
「泥棒だ!」


とっさにテツヤは叫んでいた。


さっきの男はきっと泥棒だ。


この家に住人がいないことを確認して侵入して、なにかを盗んで逃げたに違いない。


すぐに男を追いかけようとしたテツヤをジュウンイチが止めた。


「待て! 家の中に誰かいないか確認しないと!」


「なに言ってんだよ。さっきチャイムを鳴らしても誰も出てこなかっただろ」


それより犯人を追いかける方が先だと思ったが、ジュンイチの目が涙で潤んでいることに気がついてハッとした。


そうか、中から返事がないのは誰もいないからという理由だけじゃない。


あの男に攻撃されて出てこられない状態でいるかもしれないんだ!


そう理解した瞬間恐怖心が体を包み込んだ。


逃げていった男は手にナイフとか、凶器になるものを持っていなかったか?


思い出そうとしても思い出せない。


「とにかく中に入って人がいないか確認しよう。それから警察に連絡だ」


ジュンイチは強い声で言い、窓から室内へと入っていったのだった。
< 151 / 159 >

この作品をシェア

pagetop