闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆

その日、アサミは初めてニナと一緒に居残りで練習をした。


「すごく上達したね」


そう言うとニナは頬を染めて嬉しそうに笑う。


「今朝まで調子がよくなかったんだけど、先生から肩の力を抜きなさいって言われて、それから調子がよくなったの」


大木先生のアドバイスのおかげでスランプを抜けたみたいだ。


「そうなんだ。今のニナならソロパートもいけるんじゃない?」


「そんなことないよ。ソロなんて、まだまだ」


そう言いながらもニナの表情は明るくて、まんざらでもないのが見て取れた。


アサミはクッと奥歯を噛み締めて、もう1度練習を始めたのだった。
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