闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆

帰宅したアサミはさっそく種を植えるための鉢植えを準備した。


どのくらいの大きさになるかわからないから少し大きめのものを、お母さんに言って出してもらった。


それを自分の部屋の出窓に置いて、水やりをする。


「不思議な種があったのね」


種を植えるのを手伝ってくれたお母さんも、虹色の種なんて見たことがないと言った。


「それにグラウンドを真ん中で見つけるなんて不思議ね」


「でしょう? グラウンドを囲むように木は植えられてるけれど、真ん中に木なんてないもん」


この種を拾ったときには周辺に種はなかった。


きっと鳥が運んできたんだろう。


「ところで、今日は帰りが遅かったわね?」


「うん。ニナと一緒に練習してた」


「そうなの。ニナちゃん、上手なの?」


その質問には少し返事に困った。


上手だと認めるのが嫌だったし、でも嘘もつきたくなかったから。


「まぁまぁかな。私宿題するから」


アサミは早口でそう言ったのだった。
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