闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆

「アサミ、なんか今日は調子いいんじゃない?」


いつもどおり部活に参加して練習をしていると、サトコが声をかけてきた。


「えへへ、そうかな?」


実は練習を初めてすぐに自分でも感じていたことだった。


いつも苦手な部分もすんなり吹けるし、得意な部分はいつも以上に上手に吹けている気がする。


自分の気のせいかと思っていたけれど、サトコが言うなら本当に上達してきたんだろう。


「朝すごくスッキリして目が覚めたから、それがよかったのかも」


「あぁ、そういうのってあるよね。寝不足だとどうしても下手くそな演奏になっちゃう」


サトコも身に覚えがあるようで何度もうんうんと頷いている。


「でもアサミ、昨日居残りで練習してたじゃん? それの成果がでたのかもよ?」


「そんなのすぐに成果が出るものじゃないでしょ」


アサミは笑って答えた。


ずっと努力をしてきたから、一夜漬けの努力なんてなんの意味もないことくらいわかっている。
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