闇夜ヨルの恐怖記録 5
自分でも学校で吹いたときよりも更に上手になっていることが理解できていた。


こんなにすぐに上達することなんて、ありえないのに。


「昨日よりもずっと上手よ。これならプロの世界でもやっていけるんじゃない?」


「プロだなんてそんな」


「お母さん本気よ。この調子で演奏できるなら、音楽学校への進学だって考えないと。あぁ、忙しくなりそう」


お母さんはウキウキとそう言って部屋を出ていった。


アサミはそっと鉢植えに近づいて、葉をチョンッとつつく。


「まさか、本当に君のおかげとかじゃないよね?」


返事なんてあるわけないと思って質問したとき、葉が少しだけうらいで頷いてたように見えた。


アサミはハッと息を飲んで植物を見つめる。


まさか、本当に……?
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