闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆

その日も部活だった。


ソロパートを決める水曜日まで時間が刻々と迫ってきている中、遊びに行こうと誘ってきたのはクラスメートだった。


「え、でも今日は部活なんだ」


「アサミはそんなに頑張らなくても大丈夫じゃないの?」


「だよね、だってもうプロレベルじゃん」


母親からも言われたプロという言葉に胸が躍る。


私は本当にプロの奏者になることができるんだろうか?


中学校コンクールなんて小さな場所じゃなくて、もっともっと大きなステージに立っている自分を想像する。


ときにはソロコンサートをして、CDなんかも出せてしまうかもしれない。


頭の中で夢はぐんぐん成長して、気がつけばみんなと一緒にハンバーガーを食べていた。


私ならきっと大丈夫。


だってもう、プロレベルの演奏ができているんだから。


中学校の部活の練習なんてつまらない。


みんな私よりも下手くそだし、全体合わせての練習なんてしたらもうめちゃくちゃになってしまう。


そんな中で練習していたら、自分は今より下手くそになってしまうかもしれない。


「あ~あ、今日も楽しかった!」


家に戻ってすぐベッドに横になる。
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