闇夜ヨルの恐怖記録 5
放課後になると誘われるがままに遊びに出かけて、そのまま帰ってくる。


それがこんなに楽しいことだったなんて今まで知らなかった。


毎日毎日練習に明け暮れていたら、こんな風に学園生活を楽しむことなんてできていなかったかもしれない。


「アサミ、今日は練習しないの?」


「あぁ……今日はいいかな、少し休憩」


「そうなの。でも昨日もしてなかったわよね?」


「大丈夫だって、私は誰よりも演奏が上手なんだから」


アサミはそう言って母親を部屋から追い出して、再びベッドに横になるとマンガを読み始めた。


出窓ではあの植物が虹色の花を咲かせていたけれど、アサミは気が付かなかったのだった。
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