闇夜ヨルの恐怖記録 5
私はまだまだ上手だから大丈夫。


この土日でフルートを持ち帰って家で練習すればきっとうまくなる。


そう思って朝からフルートをケースから取り出したものの、すぐに演奏は中止させることになってしまった。


「ごめんねアサミ。お隣さんのお婆ちゃん今寝ているから静かにしてねって連絡が来たの。お年寄りになると昼夜逆転してしまうこともあるみたいだから、仕方ないわよね」


申し訳無さそうに言う母親にアサミは諦めてベッドの上にフルートを置いた。


「そうだアサミ、今から一緒に公園に行かない? 公園なら練習もできるだろうし」


「……うん。そうだね」


アサミはちらりと虹色の花へ視線を向けて、頷いたのだった。
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