闇夜ヨルの恐怖記録 5
☆☆☆
調子がよかった頃は居残り練習なんてしなくても大丈夫だった。
部活をさぼって遊びに出たって大丈夫だった。
なにか変わったとすれば、あの種だけだ。
走って家まで帰り、たどり着く頃には汗だくになっていた。
息を乱したまま自室に飛び込んで窓辺に駆け寄る。
花を見た瞬間悲鳴を上げてしまいそうになった。
しおれていると思っていた花はすでに枯れて、虹色は茶色になっていたのだ。
「どうしよう。花が枯れてる!」
慌てて残っていた栄養をやり、水もやる。
それから、ケースに入れることもなく持って帰ってきたフルートを吹き始めた。
だけど出てくるのはひどい音。
全然人の心を揺さぶることなんてできない音。
それでも花は少しだけ左右に揺れて、枯れた部分が虹色に変化する。
それを見たアサミは続けて2曲、3曲をメロディを奏でた。
しかし花は反応しない。
元に戻って、お願い!
この植物が自分の演奏になにかしらの影響を与えていることは確実なんだ。
だからもうこれ以上枯らせるわけにはいかない。
だから……!
4曲目を吹き始めようとした時、遠慮がちなノック音が聞こえてきた。
調子がよかった頃は居残り練習なんてしなくても大丈夫だった。
部活をさぼって遊びに出たって大丈夫だった。
なにか変わったとすれば、あの種だけだ。
走って家まで帰り、たどり着く頃には汗だくになっていた。
息を乱したまま自室に飛び込んで窓辺に駆け寄る。
花を見た瞬間悲鳴を上げてしまいそうになった。
しおれていると思っていた花はすでに枯れて、虹色は茶色になっていたのだ。
「どうしよう。花が枯れてる!」
慌てて残っていた栄養をやり、水もやる。
それから、ケースに入れることもなく持って帰ってきたフルートを吹き始めた。
だけど出てくるのはひどい音。
全然人の心を揺さぶることなんてできない音。
それでも花は少しだけ左右に揺れて、枯れた部分が虹色に変化する。
それを見たアサミは続けて2曲、3曲をメロディを奏でた。
しかし花は反応しない。
元に戻って、お願い!
この植物が自分の演奏になにかしらの影響を与えていることは確実なんだ。
だからもうこれ以上枯らせるわけにはいかない。
だから……!
4曲目を吹き始めようとした時、遠慮がちなノック音が聞こえてきた。