闇夜ヨルの恐怖記録 5
「ニナとアサミなら、断然アサミの方が上手でしょ」
練習が終わるまでの時間に同じ3年生の部員たちから幾度となくそう声をかけられた。
そのたびに微笑んで「ありがとう」と答えるのだけれど、本当はひとりで熱心に練習を続けているニナのことが気になって仕方がなかった。
ニナの演奏は本当にうまくなってきているし、このまま練習を続けられたらソロパートを持っていかれてしまうかもしれない。
そのためアサミはこの日普段よりも念入りに、自分の苦手な部分を練習したのだった。
「アサミおつかれ! 今日ケーキ食べに行かない?」
部活が終わった後サトコがそう声をかけてきた。
「いいね!」
吹奏楽は見た目以上に体力を使う。
部活が終わった後は甘いものが食べたくなるときもあるんだ。
「じゃあ今日は前祝いってことにしようよ」
「前祝い?」
「そう! アサミソロパート決定おめでとうってことで!」
あまりに大きな声で言うのでアサミは慌てて教室内を見回した。
幸いにもニナはまだ戻ってきていなくて、今の言葉は聞かれていなかったようだ。
ホッと胸をなでおろして「そういうこと、ここでは言うのやめて」と、声を潜めた。
「あ、そっか。ごめん。でもさ、みんな同じこと思ってると思うよ? いくら3年生になってから頑張ってるって言っても、ずっと頑張ってきたアサミには勝てないよ」
練習が終わるまでの時間に同じ3年生の部員たちから幾度となくそう声をかけられた。
そのたびに微笑んで「ありがとう」と答えるのだけれど、本当はひとりで熱心に練習を続けているニナのことが気になって仕方がなかった。
ニナの演奏は本当にうまくなってきているし、このまま練習を続けられたらソロパートを持っていかれてしまうかもしれない。
そのためアサミはこの日普段よりも念入りに、自分の苦手な部分を練習したのだった。
「アサミおつかれ! 今日ケーキ食べに行かない?」
部活が終わった後サトコがそう声をかけてきた。
「いいね!」
吹奏楽は見た目以上に体力を使う。
部活が終わった後は甘いものが食べたくなるときもあるんだ。
「じゃあ今日は前祝いってことにしようよ」
「前祝い?」
「そう! アサミソロパート決定おめでとうってことで!」
あまりに大きな声で言うのでアサミは慌てて教室内を見回した。
幸いにもニナはまだ戻ってきていなくて、今の言葉は聞かれていなかったようだ。
ホッと胸をなでおろして「そういうこと、ここでは言うのやめて」と、声を潜めた。
「あ、そっか。ごめん。でもさ、みんな同じこと思ってると思うよ? いくら3年生になってから頑張ってるって言っても、ずっと頑張ってきたアサミには勝てないよ」