闇夜ヨルの恐怖記録 5
そう思って自分の手のひらを見つめる。
自分もできるだけのことはやった。
だからもういいんだ――。
「ではコンクールでのソロ奏者の発表です」
音楽室の空気に緊張が走る。
少しでも動いたら切りつけられそうなピリピリした空気。
アサミはもう顔をあげることもできなくて、少しかたくなった指先を見つめている。
「コンクールでフルートのソロを担当するのは……」
キュッと目を閉じる。
耳までふさいでしまいたくなるのをグッと我慢して、先生の言葉を待つ。
「ニナさん」
その声が鼓膜を震わせた瞬間体の力が抜け落ちていくのを感じた。
そうだよね。
わかっていたことだ。
それでもアサミの頭の中は真っ白になって、なにも考えられなくなる。
ジワリと涙が浮かんできたそのときだった。
「そしてアサミさんです」
先生の声に顔をあげた。
え……?
自分もできるだけのことはやった。
だからもういいんだ――。
「ではコンクールでのソロ奏者の発表です」
音楽室の空気に緊張が走る。
少しでも動いたら切りつけられそうなピリピリした空気。
アサミはもう顔をあげることもできなくて、少しかたくなった指先を見つめている。
「コンクールでフルートのソロを担当するのは……」
キュッと目を閉じる。
耳までふさいでしまいたくなるのをグッと我慢して、先生の言葉を待つ。
「ニナさん」
その声が鼓膜を震わせた瞬間体の力が抜け落ちていくのを感じた。
そうだよね。
わかっていたことだ。
それでもアサミの頭の中は真っ白になって、なにも考えられなくなる。
ジワリと涙が浮かんできたそのときだった。
「そしてアサミさんです」
先生の声に顔をあげた。
え……?