闇夜ヨルの恐怖記録 5
「そう。メンバーは俺とテツヤとジュンイチの3人」


カツユキは表紙を開いてメンバーの名前を書いていく。


テツヤは自分の名前が書かれた瞬間、言いしれぬ高揚感に包まれた。


ついさっき見た探偵ドラマのワンシーン、探偵が女性依頼者を守るところが思い出される。


車に轢かれて殺されてしまいそうになった女性を体当たりで助けて『もう大丈夫ですよ。犯人の車のナンバーも暗記しました』と言うのだ。


俳優を自分と置き換えて想像する。


自分は探偵で、逃げる女性を助け出す。


そしてカッコイイ決め台詞を言う。


なにもかも、完璧だ。


「探偵団って、一体なにをするんだ?」


現実的な質問をしたのはジュンイチだった。


「そんなの人助けに決まってるだろ」


テツヤはすぐに反応する。


「でも、誰の?」


そう聞かれて絶句した。


誰を手伝うのか?


そんなこと考えてもいなかった。
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