闇夜ヨルの恐怖記録 5
その言葉に少しだけ嬉しくなる。


小さな頃から音楽は好きだった。


クラシック音楽を始めとして、洋楽、アイドルの曲、なんでも聞いてきて気に入った音楽は自分の手で演奏してきた。


「うん。絶対に負けない」


アサミは頷いて答える。


2人して音楽室を出た時、まだフルートの音が聞こえてきていることに気がついた。


廊下を曲がってそちらを確認してみると誰もいなくなった隅っこのほうでニナが練習を続けている。


その表情はとても真剣で、額には汗が滲んでいるのが見えた。


少し休憩すればいいのに。


そう思ったが、声をかけられないような集中力を感じてアサミたち2人はそっとその場を後にしたのだった。
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