わけあってイケメン好きをやめました
「“お忍び”から名前を取って“Xinobu”にした」

「名前の由来はどうでもいいですけど。ビックリして死にそうですよ！」


　大げさに左胸を押さえれば、虹磨さんはクスクスとおかしそうに笑う。

“虹を磨く”と書く本名も、とても綺麗な名前だ。
　いっそ本名を出したらいいのにと思うけれど、虹磨さんはどちらかというと目立ちたくない人なので、そこがもったいないなぁ……と私は思う。

　顔も声もいいし、スタイルは抜群で背も高い、音楽の才能もある。名前のごとく、七色の才能を持っている人なのに。


「制作会社を作ろうと思う。大和はプロモーション次第でもっとファンが増える。俺はアイツを大物にしたい」


　ああ、そうか。私は結局虹磨さんを尊敬しているのだ。

　まるで芸術作品に引き寄せられているような感覚で、私はこの人の溢れる才能に魅了されている。


「大和だけじゃない。才能のある若いヤツをプロデュースしたいんだ」

「縁の下の力持ちをやるんですか？」


　昔から感じていたが、虹磨さんは仲間思いだ。クリエイター気質なのにきちんと社交性もある。

　私がどうして彼を信頼するのかといえば、人間的に誠実だからだ。

　異性に対しても、イケメンでモテるくせに決してチャラチャラとした女遊びはしない。
　自分勝手にいい加減な付き合いをして、女性を泣かせたくないのだろう。

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