わけあってイケメン好きをやめました
【スピンオフ】 堤美和のこじらせ恋愛
【スピンオフ】 堤美和のこじらせ恋愛
***
堤美和、三十一歳。
二ヶ月前から大学時代の後輩である三津井徹平くんと正式に交際を始めたものの……
久しぶりすぎて、恋愛の仕方を忘れてしまったみたいです。
思い返せば付き合う前からふたりとも仕事漬けの日々だった。
それでもなんとか時間を作って食事に誘ってくれる徹平くんがとても真摯で。
真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるところに、いつの間にか惹かれていた。
そんな彼と付き合えてうれしいのに、同時に不安がつきまとう。
この幸せがいつまでも続きますようにと、毎日神様に祈っていることは誰にも内緒だ。
この日は虹磨さんとふたりでクライアントの会社を訪問したあと、和食のお店で夕飯を済ませることにした。
「はぁ……」
テーブルを挟んで対面に座る私がスマホを見て溜め息を吐いたので、虹磨さんが様子を伺うような視線を送ってくる。
こういう些細なことも、この人は見逃さない。
「暗いな。堤らしくないぞ。なにかあったのか?」
「……大丈夫です」
「わかった! 徹平だろ?」
図星を指されても驚かない。
付き合いが長い虹磨さんには、私が悩むことなんて徹平くんとの恋愛しかないと、ごまかしてもどうせ見抜かれる。
私は無言で視線を合わせ、再び力の抜けた溜め息を吐きだした。
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堤美和、三十一歳。
二ヶ月前から大学時代の後輩である三津井徹平くんと正式に交際を始めたものの……
久しぶりすぎて、恋愛の仕方を忘れてしまったみたいです。
思い返せば付き合う前からふたりとも仕事漬けの日々だった。
それでもなんとか時間を作って食事に誘ってくれる徹平くんがとても真摯で。
真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるところに、いつの間にか惹かれていた。
そんな彼と付き合えてうれしいのに、同時に不安がつきまとう。
この幸せがいつまでも続きますようにと、毎日神様に祈っていることは誰にも内緒だ。
この日は虹磨さんとふたりでクライアントの会社を訪問したあと、和食のお店で夕飯を済ませることにした。
「はぁ……」
テーブルを挟んで対面に座る私がスマホを見て溜め息を吐いたので、虹磨さんが様子を伺うような視線を送ってくる。
こういう些細なことも、この人は見逃さない。
「暗いな。堤らしくないぞ。なにかあったのか?」
「……大丈夫です」
「わかった! 徹平だろ?」
図星を指されても驚かない。
付き合いが長い虹磨さんには、私が悩むことなんて徹平くんとの恋愛しかないと、ごまかしてもどうせ見抜かれる。
私は無言で視線を合わせ、再び力の抜けた溜め息を吐きだした。