わけあってイケメン好きをやめました
 利樹とは、半年の交際で終わってしまった。短かったな。
 今日を限りに二度と会わない、そう決意すると再び涙があふれた。


「利樹とは別れる。私の連絡先、ブロックしておいて。私もそうする」

「絢音!」

「さよなら!!」


 利樹は走り去る私を引き留めたり追いかけようとはしてこなかった。
 私が告げた別れをすんなり受け入れたのだ。

 バレたら開き直り、破局するならそれでいいと彼は思っていたのかもしれない。
 私に対して愛情も執着もなかったのだと自覚すれば、路上を歩きながらも涙があふれて止まらなかった。



 翌日、円香に利樹と別れたことと、さらなる浮気の件を電話で伝えたところ、心配して私のマンションに飛んで来てくれた。


「あの最低男、とりあえずグーで一発殴っていい?」


 リビングにいる円香にお茶を出し、私も隣に座った瞬間に、彼女がポツリとつぶやいた。
 激高はしておらず、口調が静かすぎて逆に怖い。

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