わけあってイケメン好きをやめました
3.イケメンだらけで困ります
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 新しいバイトのお誘いは私には魅力的な話だったので、とりあえず履歴書を持って㈱ゲインに面接に来てみた。
 場所はカフェから信号ひとつ分の距離にあるビルの八階だ。
 
 ここに来る前に、美和さんにメッセージでこっそりと時給は確認したし、勤務時間も融通が利くみたいだった。
 こちらとしては願ったり叶ったり。カフェのバイトと掛け持ちをすれば、日々生きていくくらいの収入にはなるだろう。


「もうすぐ虹磨さんが戻ってくるから、ちょっと待っててね」


 美和さんが私を社長室に通し、来客用の椅子に座って待っているようにと指示をした。
 面接をするのは社長の虹磨さんのようだけれど、私が少々早く来てしまったために、出先からまだ戻ってきていなかった。

 誰もいないのをいいことに、ぐるりと室内を見回す。社長室はそんなに大きくはない部屋だ。
 虹磨さんが仕事をするデスクの上はパソコンのモニターとキーボードがあるだけで、余計なものは置かれておらず、すっきりと整理整頓されている。
 統一された黒のデスクと椅子は重厚感があるし、オシャレな間接照明もあって、どれも虹磨さんのイメージにピッタリだ。

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