わけあってイケメン好きをやめました
「お待たせ」


 意味なくキョロキョロしていると、突然入り口の扉がガチャリと開いて、虹磨さんが颯爽と入って来た。
 それに気づいて急いで立ち上がれば、即刻「座って」と返され、私はおずおずと再び腰をおろした。


「バイトのお声がけをいただき、ありがとうございます」

「堤から、人員募集をしてくれと以前から要望されてたんだ」


 虹磨さんはガラステーブルを挟んで私の向かい側に陣取り、先に美和さんに渡していた履歴書に目を通し始める。


「海老原 絢音……二十三なのか」

「ダメ……ですか?」

「いや、俺が思ってたより若かっただけでダメではない」


 左手をあご元にやり、右手で履歴書を持って視線をそこへ送っている。
 少し伏せた目はセクシーで、組んでいる脚はスラリと長く、まるでモデルのように美しい。
 あらためて見るとこんなにも美形だったのかと少々驚いた。

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