わけあってイケメン好きをやめました
「私、音痴なんですよ。恥ずかしいから友達と一緒になら歌いますけど……」
「ううん。俺、絢音ちゃんの歌声が聴きたいんだ」
大和さんがズイッと一歩詰め寄ってきて、壁を背にした私との距離が近くなった。
「君の歌声が聴けるなら、俺は二曲でも三曲でも歌うよ。もちろん君だけのために」
「大和さん、ど、どうしちゃったんですか?」
言われた言葉は甘い。文言だけ聞けば、口説かれているのだと錯覚しそうになるほど極甘だ。
だけど実際はそうではないのだと、彼の迫力が物語っている。いつの間にか彼から柔和な笑みは消えていた。
驚く私を見下ろす大和さんと目が合ったまま、時が止まったようにしばし沈黙が続いた。
「絢音ちゃんが音痴? それはないと思うけど」
だらりと降ろしていた私の右手を、大和さんは捕まえるように掴んで胸の高さまで掲げた。
「本当は、カラオケなんて行かなくてもいいんだ。ここで少し歌ってくれたらそれで済む」
「大和さん……」
「ううん。俺、絢音ちゃんの歌声が聴きたいんだ」
大和さんがズイッと一歩詰め寄ってきて、壁を背にした私との距離が近くなった。
「君の歌声が聴けるなら、俺は二曲でも三曲でも歌うよ。もちろん君だけのために」
「大和さん、ど、どうしちゃったんですか?」
言われた言葉は甘い。文言だけ聞けば、口説かれているのだと錯覚しそうになるほど極甘だ。
だけど実際はそうではないのだと、彼の迫力が物語っている。いつの間にか彼から柔和な笑みは消えていた。
驚く私を見下ろす大和さんと目が合ったまま、時が止まったようにしばし沈黙が続いた。
「絢音ちゃんが音痴? それはないと思うけど」
だらりと降ろしていた私の右手を、大和さんは捕まえるように掴んで胸の高さまで掲げた。
「本当は、カラオケなんて行かなくてもいいんだ。ここで少し歌ってくれたらそれで済む」
「大和さん……」