わけあってイケメン好きをやめました
「なにやってるんだ!」


 大和さんの後ろから不機嫌そうな虹磨さんの声が聞こえた。


「大和、離れろ。絢音は俺のだって最初に釘を刺したはずだ」

「虹磨さん、違うって」

「いいから手を離せよ!」


 私の手を掴んだまま状況説明をしようとする大和さんに対し、虹磨さんは私たちの間に割って入って距離を取らせた。


「口説いてたわけじゃない。俺は絢音ちゃんに確認したかっただけだ」


 大和さんの言葉を耳にした虹磨さんは怒りを鎮め、その代わりに深い溜め息を吐きだした。


「その件はもういいって言っただろ」

「……」

「大和、今日は帰れ。また連絡する」


 今度は大和さんが溜め息を吐き、私に「ごめんね」と謝ってエレベーターに乗り込んでいった。

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